群馬県太田市 T-House <ガラスルーバーの家>

構造・規模
木造1階建て

家族構成
夫婦

敷地条件
群馬県太田市
手入れされた庭園と80坪の日本家屋(母屋)が建つ敷地の一画

要望
平屋建て
ホームシアターのある家。
形状、デザインはシンプルで綺麗なイメージ。
母屋を引き立てつつ、若夫婦のスタイルに合わせた家とする。
母屋の緑を活かす家。

コンセプト
昔ながらの日本家屋の母屋が建つ敷地の片隅に、若夫婦のための小さな住宅を建てることを要望された。 敷地は郊外の住宅地で、隣地との境界は人の背丈が隠れる程の高さの大谷石の塀で囲まれている。 高い石の壁によって周辺から隔離された敷地内において、新しく建てる子世帯の家と親世帯の住むの既存母屋や既存の庭との関係は、他人や隣地との関係とは異なる。 それは堅く閉ざしたものではないし、完全に開いたものでもない。 お互いの生活の気配を適度に感じ合い、庭師によって手入れされる美しい庭を積極的に取り込みながもプライバシーに配慮しなければならないような、曖昧で、場所によって変化するようなもの。

私たちは、その曖昧で変化のある関係を、半透明のガラスを間隔を開けて設置したルーバーと半屋外空間をつくり出すことを考えた。 間隔を変化させながら連続するガラススルーバーのファサードは、光や風を通しながら、境界の強さを「疎」→「密」→「疎」と変化させ視線をコントロールする。 ガラスルーバーの内側は、伝統的な日本家屋の縁側のような半屋外空間をつくり出し、内部と外部の境界を柔らかくする緩衝帯となっている。 内部空間は外部との関係を徐々に弱めながら、巻貝のように渦巻き状にプライバシーを強めて収束して行く。 グラデーションの様に柔らかく変化しながら連続する境界は、同一敷地内に暮らす親と子の二つの家族を柔らかい関係で結んでいる。