埼玉県熊谷市 S-House <こもれびの家>

構造・規模
木造2階建て

家族構成
夫婦

敷地条件
埼玉県熊谷市
区画整理により整備された北側道路の敷地で南北に細長い。
周囲には家が建ち並び良好な景色は望めない。

要望
敷地形状を活かした住宅。
冬の北西風の考慮。
ワンルームで生活しやすい家
インパクトのある外観デザイン

コンセプト
敷地は密集した住宅地で、区画整理によって整理された区域にある。敷地周囲は住宅で囲まれ、どの方向に窓を設けても隣家が目前にあり良い景色は望めない。そんな環境の中で、プライバシーの確保と、明るく心地よい空間が望まれた。 住宅に囲まれる敷地においてプライバシーを確保する場合、周辺環境に絶望し街に対して堅く閉ざし、内に向って空間をつくる中庭型の住宅をよく見かける。 しかし、もし外部に堅く閉ざした中庭型の住宅によって街並がつくられたら、私たちの目にどう映るだろう・・・。

私たちは、住宅のプライバシーを確保しながらも、街に対して開いて行くことを考えた。 隣接する住宅から出来るだけ距離をとって建物を配置し、街に対して少しずつ開く。 そうすることで、生活の気配や生活の灯りが溢れ、街に人の生活感や温もりを与える。
また室内においては、全体に配置した小さな窓は、室内に木漏れ日のような光を届け、無風状態であっても温度差による換気を生み、心地よくエコロジーな空間をつくる。 小さな窓は、外の景色を断片化する。され、隣接する家はパズルの1ピースのように不確かなものとなり、庭や空など各部の風景は切り取りとられ、強調され、自然の風景の様々な変化を感じさせてくれる。 沢山の小さな窓は、日が沈むと街に明かりを灯し、高校生の通学路にもなっている前面道路を行灯のように優しく照らす。 街の中で、沢山の小さな窓のあいた壁によって囲まれ生まれた内外の関係は、互いに適度なプライバシーを保ちながら、適度な関わりを持っている。 近隣のコミュニティーが減少している地域の中での、クライアントと私たちの提案となった。